身近な人や大切な人に、困難を抱えていたり、ひきこもり気味だったりする人はいないでしょうか?
この記事では、「若者のひきこもりを自立できるよう」サポートしているNPOの話を交えて、ひきこもりにまつわるエピソードや、どう自立していくことができるのかについて、ご紹介していきたいと思います。
わたしが過去にプロボノ(個人の専門性を活かしたボランティアのこと)として、ヒアリングから制作まで行う中で得た話をもとにご紹介します。最後にプロボノで制作した動画や、プロボノにまつわる話もご紹介します。
ひきこもっていた人の生活とは
実家に住んでいて、実家の部屋に引きこもっていて、外にもほぼ出ないような生活を送っていましたね。
これは、宿泊型の自立支援を行っているNPO法人青少年自立援助センターのスタッフが
「青少年自立援助センターに入る前、どんな生活を送っていましたか?」
と聞いた時、卒寮生A君が答えてくれた言葉です。
卒寮生B君とC君が続けて話しました。
▼B君
家の中というか、部屋からもあまり出ない。例えば風呂は2週間に1回くらいしか入らない。髪も伸びっぱなしで。布団とPCデスクの往復をする生活。
▼ C君
中3から引きこもりで、2年間くらいずっと部屋に閉じこもって、ゴハンだけ作ってもらって、階段おりてゴハンもらって、部屋で食べて終わったらドアの外に出しとくみたいな生活。
この3人の話を聞いて、「どこかメディアで聞いたことがあるような話だ」という感覚を持つ人もいるかもしれませんが、実際に若者がひきこもりになることは珍しいことではありません。
実に、日本では準ひきこもりとされる人を含めると全国では100万人超えとなり、日本で100人に1人の割合にもなります。*1
それ故、ひきこもりになったきっかけは本当に様々です。
困難をかかえる若者に真剣に向き合うこと
青少年自立援助センターでは、「その子にあったサポートをすれば自立することができる」という考えのもと、若者の自立サポートをするために独身寮を運営しています。
この寮は、一人一人のペースでゆっくり社会参加を目指す場所で、親元を離れて少しずつ自立できる環境を整えることを目指しています。
居室をはじめ、食堂・学習室等の共有スペースがあります。
自立に向けた第一歩として、社会参加のための基本的な生活リズム・体力を養うために、一人一人の状況に合わせてカリキュラムを組んでいます。
青少年自立援助センターでの活動をいくつかご紹介します。
- 外部講師を招いてのダンス、ヨガ、絵画・書道教室のカルチャー活動。また、スポーツを通して体力づくりができる。
- 車椅子メンテナンス、館内の清掃など、内部での軽作業を活用して、生活リズムの立て直しや協働作業に慣れる。
- 里山保全や休憩所づくりなどのボランティア活動を通じて、ゆるやかな社会参加ができる。
- 企業での職場見学や実習を通じて、見聞を広め、自分の仕事の適性を知ることができる。
- 仕事探し、面接対策など個々に合わせた就労支援や、進学希望者には学習支援を行う。
- 季節ごとのイベントなどを通して、集団に慣れたり、気の合う仲間ができる。
青少年自立援助センターのスタッフには、営業、芸能マネージャー、介護、新卒入社と様々な経歴がある人が、寮生と一緒に活動をしています。
今回のプロボノを通して、青少年自立援助センターで働く想いを語ってくださったスタッフの声もご紹介します。
ここは、「家」と「社会」の間を取り持つ存在。なので、自分も昔世話になった、ちょっと面倒くさいけど面倒見が良い地域のオジサンを常にイメージしています。
本当に自立できるのか?
この青少年自立援助センターの寮の生活を通して、ひきこもりから脱することができたある卒寮生の声をご紹介します。
スタッフから「寮に入らない?」と言われたときは本当にイヤでした。
でも体験入寮してみて、「七夕祭り」イベントに参加したら、「もう寮に入るしかないのかもしれない」と思うようになりました。
入寮したときはドキドキしていたけれど、ほかの寮生やスタッフが気をつかってくれました。
他人に対して「ありがたいな」「うれしいな」と思えたのが意外でした。
一週間ぐらいで寮に慣れることができたのもみんなのおかげだと思います。
とても不思議なのですが、ここへ来て、人と話したりするのが楽しくなりました。
今までは恐怖心からブレーキをかけていただけで、もともとはこうして人と接することが好きだったんだと思います。
就職したてのころも寮にいることで救われました。
仕事で理不尽な目にあったときも、グチを聞いてくれる人がいる。
寮にいなかったら、すぐに仕事をやめ、また実家で引きこもってしまっていたかもしれません。
これからひとり暮らしをはじめますが、たまに遊びに来てしまうでしょうね。
このような卒寮生の声を聞いて、あなたはどう感じましたか?
このリアルなエピソードを知って、
「もしかすると全員が自立できるとは限らないかもしれない。それでも、生まれというスタート地点や暮らしてきた環境によっては、自分もひきこもりになっていたかもしれない。将来なりえるかもしれないと思った時に、こういったセーフティネットによって自立できる人がたくさんいることは大切だなあ」
とわたしは感じました。
最後に、今回のプロボノについて簡単にご紹介をします。
今回、青少年自立援助センターさんからご相談をいただき、わたしを含め初めましての5人のメンバーでチームを組んでプロジェクトを進めていきました。
青少年自立援助センターの課題が何なのか、本当にそれが課題なのか、どんな施策で今回ご支援するべきか、議論を何度も何度も繰り返しながら、5ヶ月間のプロジェクトとなりました。
議論を重ねる中で見えてきた課題は、
寮に入ってもらうだけでなく、関係団体への紹介など様々な手段によって、青少年自立援助センターに問い合わせをもらってからは、ひきこもりがちな若者を支援することができる。ただ、どうしてもわたしたちに声が届かない、声を挙げられない若者は支援することができない。
ということ。
こうして、今回のプロボノでは、色々な場面で使えたり、青少年自立援助センターの存在を届けられる可能性が広がる「動画作り」となりました。
メンバーの5人とも動画作りの専門家ではないものの、どんな人に伝えるべきか、どんな場面で使われるか、何を伝えたら良いか、どんな構成が良いか、写真・イラスト・テロップ・音、いろいろな要素を、多様なメンバーで考え抜き、動画を納品しました。
場面や状況に応じて使い分けをできるように4種類の動画を制作しましたが、この記事では青少年自立援助センターのYouTubeに挙がっている動画を掲載します。
誰もができる社会貢献ボランティア活動「プロボノ」
みなさんの中には、「なんか毎日パッとしないなあ」と感じながら生活を送っている人はいませんか?
わたしなりに少しでも”もっと幸せに生きるためのアイデア”をお話します。
みなさんはこれまでの人生で、ボランティアをしたことはありますか!?
おそらく小学校・中学校の時にゴミ拾いなど何かのボランティアをしたことがある人も多いのではないでしょうか?
少し思い出してみてください。
ボランティアをすると、ボランティアをしてない人に比べて、社会貢献することによって満足度が上がったり、人生の目的が見えたり、幸福感が上がると言われたりもします。
ボランティアの中でも自分の経験を活用した”プロボノ”がわたしとしてはオススメしたいです。
わたしは毎年3~5つほどプロボノ活動をしているのですが、これまでの経験を通して、”プロボノ”はボランティアのように幸福感が上がるだけでなく、自己成長もでき、一石二鳥だと思っています。
今回はプロボノについて深くはご紹介できなかったですが、教育支援団体・強制売春撲滅団体・社会的投資団体・国際協力団体など約15団体のこれまでのプロボノを通して、感じた学びや気づきもまたご紹介できたらと思っています。
プロボノについて関心が出てきた方向けにはプロボノ活動に参加できるいくつかの組織をご紹介します。それぞれ違った特徴を持った組織なので、ぜひチェックしてみてください♪
- NPO法人a-con https://www.a-conweb.net/
- NPO法人二枚目の名刺 https://nimaime.or.jp/
- サービスグラント https://www.servicegrant.or.jp/
- SVP東京 https://www.svptokyo.org/
この記事ではひきこもりにまつわる話とプロボノの話を取り上げました。
青少年自立援助センターに関心がある方は、先ほどの動画の視聴だけでなく、ぜひこちらのホームページも見てみてください。
*1:NPO法人青少年自立援助センターの動画「自立支援付き独身寮の紹介」
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