日本で居場所がなくなった家族とは?|ウクライナ難民 

社会的つながり

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2022年6月現在、ロシアによるウクライナ侵攻が今も続いていますが、ウクライナからたくさんの人が日本を含めた国外へ避難しています。

それでは、日本に逃れてきた人たちはどのように暮らしているのでしょうか?

遠い話なのでしょうか?

実は、日本へ逃れてきたウクライナの方々は1,200名以上います。*1

また、昨年ニュースでもよく報道されていたアフガニスタンでの2021年9月のタリバン政権の樹立により混乱が続き日本へ逃れてきたアフガニスタンの人々は600名以上もいるのです。*1

  • 日本へ入国したウクライナ避難民:1,200名以上(2022年6月時点)
  • 日本へ入国したアフガニスタン避難民:600名以上(2022年4月時点)

この記事では、難民申請が不許可になり、家族そろって「不法滞在」の状態になったクルド人家族のストーリーを映画「マイスモールランド」の話を交えて、わたしたちが住む日本で暮らす難民の話と、国内・国外の難民支援方法や、わたしたちに何ができるのかをお伝えします。

日本に逃れてきた人たちが対峙する壁

女子高生のサーリャ(17歳)は、父と妹と弟と一緒に故郷クルドにいられなくなり、家族そろって日本へやってきました。

クルドという国を知っていますか?

イラク、イラン、シリア、トルコにかけて暮らす山岳民族です。

日本でも埼玉県に2,000人近くのクルド人がいて、春の大きなお祭りの時には100人以上のクルド人が集まることもあります。

父はクルド人であることを誇りに思っていて、サーリャは日本語とクルド語を話せますが、妹と弟は幼い時に日本へ逃れてきたため日本語しか話せません。

ここ埼玉県にはたくさんのクルド人が近くに住んでいるため、日本語を話せないクルド人のために通訳をしたり、毎日多くのお願いをされるため、サーリャの机の壁には毎日10数枚のふせんがペタペタ貼られています。

もしかすると、海外留学をしたことがある人は、少し似たような経験や、周りに同じような人を見たことがある方もいるかもしれません。

実はサーリャには大学へ行って、自分が小学生の時に外国人でありながらも助けてもらった経験から、日本の小学校の先生になりたいという夢がありました。

父には内緒で、大学へ行くためのお金を貯めるためにアルバイトをして、家事・勉強・クルド人からの頼まれごと、と大変な毎日を過ごしています。

そんなある日、サーリャたち家族は難民申請が不認定となります。

「なんでですか!?」とクルドから逃れ必死に生き延びてきたことを訴える父ですが、難民認定の判定は覆りませんでした。

「仮放免」

これはどういうことか想像できますか?

暮らしている都道府県から出るには事前に許可が必要ですし、働くことも禁止となります。

埼玉から東京へアルバイトへ行っていたサーリャも、もっと親しくなりたいと思っていたバイト仲間の恥太に会いたい気持ちや大学の学費を貯めるために、しばらくバイト先のコンビニへ通っていました。

しかし、収入が無いと生きていけないと考えた父は、仕事中の工事現場で警察に見つかり、入国管理局に収監されることに。

その日、妹と弟は涙を流し、「自分がしっかりしないと」と気持ちを引き締めたサーリャ。

家事や面倒を見るサーリャに対し、反抗期である妹から「親になったつもり!?」と言われ、弟もお父さんやクルドへの思い出である物を夜遅くまで探し、一時は恥太や妹と一緒に探す騒動に。

想いを寄せていた恥太に大学のオープンキャンパスに誘われるも、仮放免のため行けないことを打ち明けます。

恥太とサーリャのことを思った恥太の母からは、「これ以上恥太に会わないでほしい」と言われ、アルバイト先の店長からも不法に就労させることはできないからと解雇されます。

家賃も滞納のため追い出されそうになり、クルド人仲間から借りますが足りなく、友達からの誘いでパパ活を始めるも、客に襲われそうになり、傷ついてしまいます。

そして、一人で向かった父との面会の日、「俺は国に帰る」と父に言われました。

話し合うもその日はよく分からなかったサーリャ。

後々、「親がビザを諦めたことで子ども達がビザを取得できた」例があったそうで、それで父が決心したとサーリャは知ることになったのです。

逃れてきた日本で続く、長い人生の”再建”

決して、国から避難できたら安心というわけでなく、ことば居住・経済面・法律、さまざまな壁が待ち構えていることを感じられましたか?

現在、ニュースで報道されているウクライナの方々はどのように日本へ来日しているのでしょうか?

実は、ほとんどが政府の船で来ているのです。

つまり、身元引受人がいる人たちであり、日本で留学してい子どもが保証人になって、母親が来日することや、日本人がウクライナに遊びに行った時の知り合いを日本へ来る時に保証人になること、直接面識はなくても保証人に名乗り出たケースなどが当てはまります。

住む場所、医療、就労、ことば、色々なことが困るということで、民間からの申し出を集める政府のWEBサイトも立ち上がっています。

ここで1つ考えていただきたいのは、いざ母国を逃れた先での「長い人生における仕事」というのは大事なテーマではないでしょうか?

例えば、避難した先の国では、清掃員などいわゆるブルーカラーの仕事しか無い人もいるのです。

もしかすると

難民だから生き残るために、何でも良いから仕事ができれば良い

というイメージを持つ人がいるかもしれないですが、彼らも私たちと同じく人生において仕事選びたいと思っていたり、選択肢があることが大事ではないでしょうか?

故郷が崩れていく中、何か一つでも自分の意思で選択ができるとしたら、仕事やキャリアや人生をどう生きていくか、それが尊厳ではないでしょうか。

このように紛争・迫害などから逃れて日本へ逃れてきた人たちに対し、強みやスキルを生かして育成し、企業の働き手としてつなぎ、その後の定着サポート、安定した法的地位への切り替えまでを伴走しているのが、NPO法人WELgeeです。

現在、NPO法人WELgeeでは、ウクライナ避難民やアフガニスタン避難民の日本での人生の再建に伴走するため、200名の「マンスリーサポーター」を募集するキャンペーンを実施されています。

日本にいる難民の方々を支援したいという方は、今だからこそ、関心を寄せたり、応援をしてみてはいかがでしょうか?

日本以外のウクライナ難民に必要なこと

また、支援団体が聞いた当事者たちの話では、ウクライナから国外へ逃れる人たちはほとんどが女性であり、その女性たちを搾取しようとするケースも出ているそうです。

そのため、「自分の家を貸すよ」という申し出も怪しいのか、本当に安心安全なのか判断ができないということも起きているそうです。

戦争や空爆などの写真や映像を、ウクライナの人々の方が日々SNSなどで生々しく見ている中で相当精神的ストレスがかかっているため、私たちが想像する以上に難しいのです。

大人の女性だけでなく、子どもたちが避難を強いられ、家族から引き離されることで、人身取引や搾取、虐待の危険性が高まっています。

避難民世帯は収入を得る機会が乏しいため、経済的な困窮から子どもたちを搾取するケースも起こっているのです。

国際NGOワールドビジョン・ジャパンは、子どもが安心して過ごすことができるチャイルド・フレンドリー・スペースを設置したり、ケースワーカーが心理社会的サポートを行ったりしています。

また、避難してきた子どもたちとその家族に、食料や水、石けん・歯ブラシなどを含む衛生キット、ベビー用品、ブランケットなどを提供し、避難先での生活を支援しています。

その他にも、学びの機会を失った子どもたちが、避難先でも学び続けることができる環境を整えていて、安全で安心できる場所で学ぶことが、様々なリスクから子どもたちを守ると同時に、日常を取り戻すきっかけとなるように活動しています。

国際NGOワールドビジョン・ジャパンでは、ウクライナをはじめ、シリア、南スーダン、アフガニスタンなど、刻々と変わる不安定な状況に応じて、今、必要な支援をみきわめて子どもたちに届けているそうです。

1日あたり33円の支援で始められる「プロジェクトサポーター」という制度が用意されているので、ウクライナや途上国の子どもたちの命と未来をサポートしたいと思う方はご覧になってはいかがでしょうか?

また、1日あたり150円の支援で手紙でのやりとりや支援地訪問も可能な「チャイルド・スポンサーシップ」という制度もあり、十分な食事や教育の機会も与えられない途上国の子どもたち、一人ひとりの成長をサポートできます。

今回のような紛争の影響を受けている地域の支援ではありませんが、特定地域の開発援助を行うもので、寄付を通して、1人の子どもとつながる支援プログラムです。

私たちができるウクライナの方々への支援

ここまで、日本にいる難民の方々の物語やウクライナ難民の問題を踏まえて、活動を展開されている団体を紹介してきました。

  • 日本へ逃れたウクライナをはじめとする難民へのキャリア教育や人生設計を考慮した就労伴走を応援したい方にオススメするNPO法人WELgee
  • ウクライナから国外へ逃れた難民やその子どもの心の傷をいやす支援をはじめとして、紛争や災害などの中にいる人たちの緊急支援や命を守る支援をしたい方にオススメする国際協力NGO ワールド・ビジョン・ジャパン

ロシアからの軍事侵攻によって、私たちに身近な日本へ避難されてきて生活を送るウクライナ難民、周辺国やその他の国に逃れたウクライナ難民、双方の方々への支援が必要かなのは確かと思います。

どちらの方々へも、サポーターとして継続して支える方法があることを紹介しました。

ウクライナとロシアの問題は単なる2国間の問題ではなく、世界全体の平和につながっていると思います。

「ウクライナの人たちのために何かできることをしたい…」

と考えている方は、ぜひ紹介したWEBサイトを確認してみてください。

*1:NPO法人WELgeeのWEBページ「マンスリーサポーターを募集します – NPO法人WELgee」

※写真や映像はイメージです。実際とは異なる場合があります。特に明記しない限り、著作権フリー・クレジット表記が不要の素材を使用しています。
パークで発信した人(この記事を書いた人)
ライター

本業では、NGOにて世界の子どもたちの未来を変えていくために日々取り組む。
みんなが物理的・精神的・社会的に豊かな人生を過ごせるよう追求するため、ウェルビーイングパークを運営。

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